おすすめ漫画紹介

短いけど読みごたえのあるおすすめ漫画(完結作品のみ)

漫画を読むのは好きだけど、何十巻もあると疲れる……という人のために、10巻以内完結で面白い漫画をまとめました。

「漫画の評価は完結するまでわからない」という主義のため、完結作品のみです。

ジキルとハイドと裁判員(5巻完結)

「心理戦でおもしろい漫画ない?」「短くて面白い漫画ない?」と聞かれたときに、100%あげる漫画。
私の中では鉄板中の鉄板。

裁判員制度×心理戦という異色の漫画。(ファンタジー要素あり)

あらすじ

裁判員裁判を担当することになった裁判官の辺見 直留(へんみ じきる/以下、ジキル)は、ある日突然「ハイド」と名乗るスマイリーマークのような形をした謎の生物に寄生されてしまう。

殺人事件の裁判中、ジキルはハイドの力により、人の心を読んだり人の過去を知る力を手にいれることになる。

そして、裁判中の被告人が冤罪だということを知ってしまう。

しかし、目撃証言や凶器に残された指紋など、状況証拠が揃っていて被告人には圧倒的に不利な状況。

ジキルは冤罪をふせぐため、心理学の知識を応用し裁判員たちを言葉たくみに心理誘導していく……。

最初の話は有罪になってしまいそうな被告を無罪にするという話なのですが、つぎは一転、無罪になりそうな被告人を有罪につきおとす話となっています。

このギャップがすごい!  最高。

正しい結論を導くため、なかば強引に審議を進めていくうちに、一緒に裁判を担当している先輩の裁判官とジキルは衝突するようになります。

「結論ありきの裁判を認めない」という先輩裁判官と、「真実を導くために、事実をちょっと歪めるだけだ」という思いのジキルの対立が熱い。

また、「6人の裁判員たち」「裁判をスムーズにおわらせて出世することしか考えない裁判長」という第3勢力が話を面白くしています。

全5巻完結ですが、もっと続いてほしかった……! と思わずにいられません。

絵のクセが強くてとっつきづらいけど、めちゃくちゃ面白いです。
もっと評価されるべき。

最近ではニュースにあまり取りあげられなくなった裁判員裁判ですが、だれもが裁判員に選ばれる可能性があるいま、ぜひ読んでもらいたい漫画です。

裁判での逆転がテーマ、ファンタジー要素あり、敵キャラも濃い……と、どことなく逆転裁判(ゲーム)を彷彿とさせる雰囲気も好きです。

逆転裁判が好きな人は特におすすめ。

燃えよペン(1巻完結)

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すべてのマンガ家がこうだと思っていただきたい!」というキャッチコピーの、架空の漫画家・炎尾 燃(ホノオ モユル)の生き様を描いた漫画。

私の愛読書。むしろバイブル。

『炎の転校生』や『逆境ナイン』など数々の熱血漫画を描かれている島本 和彦さんの作品。
続編的な『吼えろペン』もあるけど、『燃えよペン』がいちばん好きです。

熱血漫画は短い方が、いきおいがあって面白いと思います。

ショックを受けた時の集中線を描くために自分の大事なものを壊したり、やっていることはムチャクチャなんだけど、その根本にあるのは「いい作品を作る」という熱い思い。

ただのギャグ漫画のように見えて、「時間が人を左右するのではない…人が時間を左右するのだ!!」「いつもの倍の速さで…しかも倍のクオリティで上げる!」という名言も多い。

漫画を描く人だけじゃなく、モノ作りや自己表現を仕事にしたい人には読んでほしいです。
もちろん、普通のギャグ漫画としても面白いです。

熱血マンガ家十訓は、スキャンしてタブレットに保存しています。

もずく、ウォーキング!(3巻完結)

ギャグマンガでほとんど笑ったことがない私が、声をあげて笑う数すくない漫画。
施川 ユウキさんは作家単位で大好きです。

『もずく、ウォーキング!』は、考える犬もずくと藤村家の生活を描いたほのぼの(?)コメディ。

藤村家に飼われている犬・もずくはとても頭がよく、哲学的なことを考えます。

たとえば、雑誌の占いコーナーを読んでいる、犬が苦手なお父さんを眺めながら

言葉を交わせない相手を信用しないのは正しい姿勢だと思うが時に人間は言葉を過信する
寡黙であるコトの誠実さに気付けない

雑誌は言葉の塊だがそのことが信頼の根拠足りえないのも事実だろう
ラッキーアイテムを鉄アレイにされた獅子座はその時点でアンラッキーだ

などと思っていたり。

天気予報の降水確率を聞いて、「50%って半々の予想を自信満々の顔で言うなよ……」と毒舌ツッコミをする一方で、大福のおいしさに素直に「ウメェ!!!」と感動するギャップが愛らしい。

施川 ユウキさんの作品は初期の作品ほどシュールで人を選び、最近の作品ほど読みやすいけど、物足りない。

『もずく、ウォーキング!』はシュールさと一般受けのバランスがちょうどよくて好きです。

デビュー作の『がんばれ酢めし疑獄!!』はレベルが高すぎて、ついていけなかった(笑)

獣王星(3巻完結)

休載をはさみつつも、10年にわたって連載された大作SF系少女漫画。

完全版は全3巻ですが、ぶ厚いので量はけっこうあります。(コミックスだと全5巻)

あらすじ

主人公のトールとその双子の弟ラーイは、エリートな両親を持ち、首都でなに不自由ない暮らしをしていた。

しかし策略で両親が殺され、トールとラーイは死刑星と呼ばれる惑星・キマエラに送られてしまう。

そこは食虫植物がはこびり、181日灼熱の昼と181日極寒の夜を繰り返すという過酷な環境。

そんな中、2人は人として死ぬか、獣として生きのびるかの選択をせまられる。

「少女漫画って、ゆるふわ恋愛系漫画ばっかりでつまらない」というイメージがあったので、はじめて樹 なつみさんの漫画を読んだとき、「こんな硬派な少女漫画があるのか!」と衝撃を受けました。

読みおわったあとは、シェイクスピアの『ハムレット』を読んだときと似たような印象を受けました。
最後の結末だけみると完全なハッピーエンドではないし、むしろ悲劇的。

だけどお涙ちょうだいでは決してない。

それは、『獣王星』という作品では死というのは「旧体制の崩壊」の象徴であって、次の時代にすすむために絶対に必要なプロセスだから。

『獣王星』という作品は、死と再生の物語だと思っています。

少女漫画だけど、男性が読んでも面白いと思います。

むしろ女キャラの扱いがひどくて、女性には勧めづらい……(笑)

妄想少女オタク系(7巻完結)

腐女子と非オタ一般男子のラブコメディ。

面白いけど、「腐女子とかキモいんでマジ無理」って人はスルーしてください。

あらすじ

高校生の阿部 隆弘(あべ たかひろ)はひょんなことがきっかけで、クラスメートの浅井 留美(あさい るみ)に絵のモデルを頼まれる。

話しているうちに浅井を好きになっていく阿部。

阿部は思いきって告白するが、浅井は「阿部君は千葉君(阿部の友達のイケメン男子)とのがお似合いだと思うの」などど意味不明な供述をしており……といったストーリー。

ヒロインの浅井にはモデルがいるということで、オタク特有のノリがよく再現されています(笑)
一般人の阿部君の反応とのかけあいが面白い。

1巻が発売されたのが2006年ということもあって、ネタ的にはすこしところもあります。(ギザモエスとか言わなくなったなぁ……)

世代的には、ガンダムSEED世代がいちばん親近感わくかも。
ガンダムSEED放映時、高校生だったこともあって、ものすごく懐しい気持ちになりました。

序盤は下ネタギャグが多めだけど3、4巻あたりから、ところどころいい話が混ざってきます。

不覚にも終盤は泣きました。
かれこれ3周くらい読んでいるけど、最後は毎回泣きます。

腐女子という題材を扱いながら、ものすごく青春している漫画です。

有名な漫画やアニメのタイトルをパロっている帯が面白いので、ぜひ紙のコミックスで読んでみてください。
個人的にはコミックス5巻の帯がいちばん好き。
妄想少女オタク系 コミックス表紙&帯

死刑囚042

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あらすじ

7人を殺し、死刑判決を受けていた死刑囚042号。
独房に閉じこめられていた彼は、とある実験の被検体に選ばれる。

それは死刑制度の廃止を検討している政府が開始した実験で、脳の興奮が殺人を犯すほどに達すると爆発するという脳内チップを埋めこんだ状態で、一般社会で無償労働させるというというもの。

死刑囚042は派遣された高校で、盲目の少女・ゆめと出会う。

反対派の反発を受けながらも、ゆめや被害者の遺族、自分の母親、実験を指揮する椎名博士といった人たちと関わっていくうちに、042号は人間らしさを取り戻していくが……。

1巻のあとがきで「取材をしていないファンタジー」と描いているとおり、設定はけっこうムチャなところがあるけれど、面白いです。
ドラマチックな展開というよりかは、淡々とした日常の中に、042号の成長を描いていく感じ。

登場人物は基本いい人が多いので、重いテーマのわりにサラっと読めます。
1巻の最後に出てくるウサギが癒し。

最終巻は犯罪者と社会の関わり方について考えさせられるような展開で、いい終わり方です。