アンドールの伝説の拡張セット『北方への旅立ち』をクリアしましたので、レビューします。
アンドールの伝説 基本セットのレビューはこちら。

システム的に良くなった点や楽しい面もあるけど、それ以上に残念な点が多く、アンドールの伝説が好きすぎてプレイしないと中毒症状がでてしまうような人にしかおすすめしません。
拡張版のコンポーネント
『北方への旅立ち』では、アンドールの伝説 基本セットにあるコンポーネントをいくつか使います。
『北方への旅立ち』のみで遊ぶことは不可能なので、ご注意ください。
今回もゲームボードは両面リバーシブル仕様。
基本は北方編の面を使い、伝説10(拡張セットの最終シナリオ)でのみハドリア編を使います。
こちらが北方編のゲームボード。
こちらがハドリア編のゲームボード。
怪物も人魚のような姿をした「ネラクス」(写真右)や「海トロール」(写真左)といった海の怪物が登場します。
北方への旅立ちは、全4章。
基本セットは伝説1〜伝説5でしたが、拡張版は基本セットの続きなので伝説7〜伝説10までが入っています。
(伝説6は基本セットに入っている自作シナリオ用カードです)
基本セットと拡張セットのシステムの違い
勇者の一部変更
拡張版のゲームボードには鉱山がないため、ドワーフ(クラム/バイト)がはずれ、船の操作に長けた海兵のキャラクター(シュティナー/シュティアンナ)が追加されました。
特殊能力は、船に乗っている場合、自分の行動の直前または直後に船を1マス追加で進められるというもの。
私は基本セットでは戦士をプレイしていましたが、せっかくだから新キャラを使いたい! ということで、『北方への旅立ち』ではずっとシュティアンナをプレイさせてもらいました。
魔術師(エアラ)、射手(パスコ)、海兵(シュティアンナ)の3人パーティです。
敵を倒した時の語り部コマが進むのが遅くなり、冒険感があがった
アンドールの伝説(基本セット)では1匹倒したら語り部コマが1マス進んでいたのが、2体倒したら1日進む仕様に変更になりました。(伝説10の場合は3体で1マス)
これはすごくいい変更だなと思いました。
基本セットは「敵をいかに倒さないか」が重要でしたが、『北方への旅立ち』ではむしろ敵をガンガン倒さないとゲームオーバーになってしまうので、RPG感・冒険感がグッと増しました。
基本セットで敵を倒せずにフラストレーションがたまっていた人は、拡張版で思いっきり戦えます。
ゲームオーバー条件の条件の変更
アンドールの伝説 基本セットでは、城に進入した敵の数が一定値になるとゲームオーバーでした。
北方の旅立ちでは敵が陸地にいると栄誉というポイントが減っていき、栄誉が0になるとゲームオーバーになります。
栄誉は、敵を倒した時の報酬でもらえます。
基本セットは意志力でもらうか、ゴールドでもらうかの2択でしたが、拡張版ではそれらに加えて栄誉でもらうかを選択できます。(混合もOK)
船システムが追加
今回の目玉はなんといっても船・アルデバラン号。
ちゃんと船コマもありますよ。
海を渡って移動できます。
たまに嵐が起こることも……。
船には艤装(ぎそう)という装備があり、ゴールドで買うことでパワーアップできます。
艤装には攻撃力+4など戦闘での補助効果もあって北方への旅立ちの攻略の要となります。
船システムはいいところと悪いところがあって、いいところは基本セットとは違った戦術を新しく考えさせられること。
悪いところは、船が強すぎてショップのアイテムがほぼ無意味になったところと、職業ごとの個性が薄れたところです。
よくも悪くも船ありきなのが『北方への旅立ち』です。
拡張セットでよかったところ
システム面がより洗練された
敵を倒したときの語り部コマの仕様変更はすごくよかったです。
詰将棋もいいけど、やっぱ敵をバンバン倒したいですよね。
運要素が減り、理不尽な死がほぼなくなった
もともと基本セットの時も運要素は少なめでしたが、それでもボスのダイスの目によっては、こちらがワンパン即死になるようなことがありました。
北方の旅立ちでは運要素による理不尽死はほぼなかったので、バランス面ではより洗練されたものになっています。
拡張セットでよくなかったところ
セットアップが面倒くさい
コマが基本セットのコンポーネント+拡張のコンポーネントを使うのでセットアップがめんどくさいです。
基本セットはプレイヤー3人で手分けしてセットアップすればそれほど準備の時間は気にならなかったのですが、拡張版のセットアップは面倒くさいと思ってしまいました。
伝説9はとくに難易度が高く、ゲームオーバーの回数が多すぎたのもあって後半ダレました。
ストーリーの終わった感がない
個人的に1番気になったのがストーリーの終わった感がないところ。
途中まではセットアップめんどくさいと思いつつも楽しんでいたのですが、拡張のラストである伝説10をクリアした時にテンションが下がりしました。
エンディングが完全に「ほかの拡張セットのストーリーに続く!」といった感じで、ハッピーエンドっぽくないんですよね。
もうちょっと拡張ごとに大団円の結末にして欲しかったです。
次にあげるバランスが大味という欠点もあいまって、最後の伝説10の出来があまり良くないので、クリアすると同時にうーん……という感じになってしまいました。
伝説10のバランスが大味
伝説9までは難易度が高いものの、ギリギリなバランスでよかったです。
問題は最後の伝説10。
敵が強いものの、それ以上にもらえるアイテムが強力なのでラスボスがザコ化してしまい、ものすごくあっさり勝ててしまいました。
基本セットにあったギリギリ感、それを乗り越えた時の達成感は薄めです。
良くも悪くも船ありきのバランス
船が強すぎるのでショップで買えるアイテム(ワイン袋、弓、鷹、兜など)がほぼ無意味なのは、ちょっと悲しかったです。
いろいろアイテムを使って戦うのが好きなんですよ。
北方の贈り物という拡張セットで新しく出てくるアイテムもあるんですが、有角シマイタチ以外は使いどころがないことも多かったです。
船に乗って共同攻撃がメインになるので、勇者の特殊能力もあまり活かせない部分もありました。
とくに射手は、おおはばに弱体。
船だと弓がなくても隣接マスが攻撃できるのであまり意味がない、魔女が出てこないので魔女薬を安く買えるメリットもないと、いいところがまったくないです。
外伝が1つしかないので、相対的にお得感が薄れる
基本セットが大盤振る舞いすぎたのもあるんですが、公式サイトで公開されている外伝(追加ストーリー)が1つしかないので、基本セットと比べると割り高感があります。
アンドールの伝説 拡張セット 北方への旅立ちのプレイ時間
1プレイは2時間~3時間くらいです。
途中ゲームオーバーの回数が多すぎて、トータルのプレイ時間は計ってないのですが、ゲームオーバー含めて15回くらいプレイしたので、35時間くらいでしょうか。
そうしてみると、基本セットとプレイ時間のトータルはあまり変わらないのかも。
ボリュームが少なく感じるのは同じ伝説を繰り返しプレイしているからでしょうね。
リプレイ性は基本セット同様、あまりないです。
でも全クリアまでに時間がかかるので、コスパは割といいほう。
私はストーリー重視なので最後のガッカリ感が強かったけど、ストーリー気にしない、かつ船システムが気にいれば長く遊べます。
人を選ぶので、おすすめはしにくいです。
ストーリーの終わり方的に、『北方への旅立ち』をクリアしたら次の『最後の希望』までプレイすることになると思うので、アンドール好きで最後までプレイしてやるぞ! という人はどうぞ、といった感じです。